ライターに求められるのはどんな仕事?
ライターの仕事が減って来たように感じている方はいませんか?
私はとても感じています。
一昔前までは、クラウドワークスや、ランサーズ、あるいはXなどをチェックすると、「ネットで調べたことをSEOを意識しながら書く」という仕事がたくさんあったような気がします。ですが、最近はなかなかそうした仕事は見かけませんよね。
(私が見逃しているだけだったらごめんなさい!)
近年は、ネットで調べたことをわかりやすくまとめて書く仕事は、AIがとても上手に出来てしまいます。AIの発達が著しいですから、今後ますます、AIは非常に見事なSEO記事を書くようになるでしょう。だとしたら、これからの時代、ライターに求められるのはその人にしか書けない文章ではないでしょうか。
自分しか知らないことを、自分にしか書けない魅力的で個性的な文章で書き、人を惹きつけること。これからの時代には、それが何よりも大切になってくるのではないかと思います。
自分にしか書けない文章力を磨くには
自分にしか書けない文章を書くこと。そのために必要なのは読書ではないかと、私は思います。
名作と呼ばれる文章には、その作家にしか書けない個性であふれています。時代を超えて人を惹きつけてきた魅力があります。そうした個性的、かつ魅力的な文章をできるだけ多く読むことで、優れた文章を書くリズムがつかめてくるのではないでしょうか。
魅力的で面白い文章に出会ったら、声に出して読んでみましょう。声に出すことで、優れた文章のリズムをつかみやすくなります。
あるいは魅力的な文章を書き写しても良いと思います。これは面白いと思った文章を10ページ分くらい写してみてください。ただ目で読むよりも、自分自身で書き写す方が、文章の成り立ちがつかめます。
文章力はいきなり身につくことはありません。タイプの違う優れた文章をできるだけ多く読み、声に出し、書き写すことをクセにすることで、自分自身の文章のリズムが自然にできてくるのだと思います。
好きな本を見つけてたくさん読もう
読書は楽しいことが一番です。というか、楽しくなくては続きません。ですから、まずは自分が一番好きで面白い本をたくさん読むことが大切になってくるでしょう。
面白い本をどうやって探したら良いかわからない場合は、本屋に行ってみましょう。たくさんのタイトルの本が並んでいます。惹きつけられるタイトルの本を適当に選んで、ペラペラとめくってみましょう。
そのままどんどん続きを読みたくなる本を見つけたら、早速購入して読むべきです。あなたが気に入った作家さんの本を次々に読んでみてください。
そのようにして、まずはお気に入りの作家さんを何人か見つけましょう。そのうちに、自分が好きで面白いと思う本のパターンがわかってくると思います。そこまでいったら、自分の好きな本を見つけることも上手になり、読書が楽しくなると思います。
個人的におすすめの本は?
ここからは私が個人的におすすめの本を紹介してみたいと思います。
ただし、私はとても面白くて気に入っていますが、皆さんがお気に召すかはわかりません。面白いと思う本は、人それぞれなものだからです。
というわけで、あくまでも、私のお気に入りの本ということで紹介してみますね。
- 太宰治の本
- 夏目漱石の本
- ファンタジー作品
太宰治の本
太宰治という名前を知らない方はほとんどいないでしょう。
『人間失格』や『斜陽』などの名作もありますが、私としては『お伽草子』や、『ろまん燈籠』といった彼のユーモアがもれなく詰めこまれているような作品が好きです。『太宰治 滑稽小説集』という本がみすず書房から出版されているのですが、そこに収録されている作品も面白くて何度も読みました。
とにかくユーモア全開で笑わずにはいられません。おかしくてどんどんページをめくらずにいられないのですが、それでいて、ユーモア全開の中にスパイスのように哀しさと寂しさが入りまじっている……そこがまた人を惹きつけてやまないのです。
また、口述筆記された小説も多いそうです。だから、まるで彼自身のおしゃべりのような流れるような文体で物語が語られていきます。
現代は録音という便利な技術がありますから、ライターが自分で執筆する時も、録音しておいて文字起こしをしてから、文章を書くというのも流れるようなリズミカルな文章を作るには良い方法ですね。
夏目漱石の本
夏目漱石もまた日本の文豪ですね。『吾輩は猫である』や、『坊ちゃん』といった本のタイトルを知らない方はおそらく日本にほとんどいないでしょう。
ですが、全部しっかり読破したという方はどれだけいるでしょうか。
夏目漱石の本は一度は手に取って、パラパラとめくってみるべきではないかと個人的には思います。特に『吾輩は猫である』はもう本当に面白いです。漱石の本全部が好きなわけではありませんが、『吾輩は猫である』は何度読んでも飽きない傑作だと思います。
猫の強烈な個性にマッチしすぎるほどマッチした文章が、何度読んでも笑いを誘います。猫の語ることがいちいち的を得ていて、それがまた魅力なんでしょうね。
猫の語りはちょくちょく脱線します。何ページにも渡って脱線することさえありますが、脱線したり戻ったりを繰り返しながら、流れるように物語を語っていく。その手腕は、見事という他はありません。
まとめるだけが文章のすべてではありません。人を惹きつける文章とはいったい何なのか、『吾輩は猫である』は考えさせてくれる本だと思います。
ファンタジー作品
ファンタジーは、ライターの勉強になる本とは言えないだろうと思うかもしれませんが、決してそんなことはありません。
ファンタジー作品はどれも、この世にない架空の世界を文章で表現しています。だからこそ、どれだけわかりやすく、目に見えるように書くことができるのかが、勝負の分かれ目となってくるのです。
ですから、優れたファンタジー作品を書こうと思ったら、優れた文章力がなければ絶対に書くことはできません。だから、ファンタジー作品を読むことで、現実世界にないモノやコトを目に見えるような文章を書くコツを身につけることができるのです。
私が個人的に好きなのは、『ライオンと魔女』をはじめとする『ナルニア国物語』シリーズです。子どもの頃から何度も読みましたが、大人になって読み返すとまた、子どもの頃には気がつかなかった新たな魅力に気がついたりするのですよね。
優れた作品とは皆そういう性質を持っています。つまり、何度読んでも読み返すたびに、新しい発見があるのです。
できれば、皆さんにも名作と呼ばれるファンタジー作品を……『ナルニア国物語』や、『はてしない物語』、『指輪物語』などに挑戦していただきたいです。日本のファンタジー作品でいえば、梨木香歩さんの『裏庭』なども面白いですね。
まとめ
とにかく一番大切なことは、読書を楽しむことだと思います。自分が面白いと思う本を見つけて、次々に読むことが自分にしか書けない文章力を身につける何よりの近道になります。
面白いと思える本に出会ったら、何度も読んでみてください。目で呼んで、声に出して、また目で呼んで、声に出して。そうして何度も何度も読むことで、優れた文章のリズムが身についてきます。
……と、ここまで偉そうに書いてきて、私の文章がダサかったらどうしようという恐怖におののいていますが、そこはまだまだ勉強不足のライターなんだなと思って、お許しください。
とにかく読書をして損はないです。それだけは自信を持って保証します。
冬はコタツが恋しい季節ですよね。コタツに丸まりながら読書などいかがですか? ぜひ楽しい読書の時間を過ごしてみてくださいね。
この記事を書いたライター
丘紫真璃
児童文学作家の傍ら、Webライターをやっています。パソコン作業ですっかり凝り固まった身体をヨガや犬の散歩に出かけてほぐしつつ、執筆にいそしんでいます。とにかく、自分が好きなことをいっぱい書いて、書いて、生きていきたい。

