そもそも「異業種交流会」ってなに?

「異業種交流会」とは、さまざまな業種・職種の人たちが集まり、情報交換や人脈形成を目的とする場です。経営者や個人事業主、フリーランス、会社員など、多様なバックグラウンドを持つ人々が参加します。
雰囲気は会によってさまざまで、ビジネスセミナーのような堅めのものから、食事をしながらフランクに語り合うものまで多岐にわたります。筆者が主催していた異業種交流会は、美味しいランチを食べながら、楽しく近所づきあいをするような雰囲気でした。
ライターにとっては、自身の専門性をアピールする場であると同時に、未知の業界の知識を得たり、思わぬコラボレーションが生まれたりする可能性を秘めた場所といえます。
異業種交流会への参加をためらうのはなぜ?

ライターの方々と話をしていると、異業種交流会に対してリアルな声を耳にする場合があります。特に多く耳にする理由は、以下のとおりです。
- 人見知りなので、積極的に話しかけられない
- 経営者や事業主に会うと尻込みしてしまいそう
- 名刺交換のルールがわからないので怒られそう
- 仕事につながらないのでは?
私自身も初めて異業種交流会に参加する際には、同じような気持ちを抱いていたので「わかる!わかるよ!」とうなずくものばかりです。ただ、これらの理由の大半が「成功体験が少ないからではないだろうか?」と私は考えます。
ライターが異業種交流会に参加すべき4つの理由

成功体験が少なく、ためらってしまう方に向けて、異業種交流会に参加して得られる4つのメリットを紹介します。
理由1:想定外の仕事につながる可能性がある
異業種交流会の最大のメリットは、想定外の仕事につながる可能性がある点です。参加者には経営者や個人事業主、営業などさまざまな職種の方が参加しています。彼らも自社のビジネス拡大を目的に参加しているので、直接的に「ライター募集」と看板を掲げているわけではありません。
ただ、自分のビジネスを伝える方法に関してアンテナを張っている場合も多いです。「ブログの更新に悩んでいる」「SNSの文章を書いてくれる人が欲しい」など、潜在的にライターを求めている場合も少なくありません。あなたのライティングが、彼らのニーズを満たすと判断されれば、仕事の依頼につながる場合もあるのです。
理由2:各業界の「一次情報」に触れられる
ライターの生命線のひとつが情報源です。ネットにあふれる情報だけで執筆をしていても、差別化が難しく、評価の高い記事につながりにくい場合もあるでしょう。異業種交流会には各分野のスペシャリストが参加するため、最新動向、課題、専門用語、業界特有の価値観などを「生の声」として直接情報収集可能です。
例えば、製造業の社長から聞いた現場の課題、ITエンジニアから聞いた最新技術の解説、飲食店のオーナーから聞いた集客の悩みなど、これらのリアルな情報は、あなたの記事に深みと説得力をもたらします。
理由3:自身の「市場価値」を客観的に知る機会になる
ライターとして活動していると、自分のスキルや経験が市場でどの程度評価されるのかを知る機会は意外と少ないものです。異業種交流会でさまざまな人に自分の仕事内容や強みを説明すれば、「どこに興味を持ってもらえたか」「どこが伝わりにくかったか」を知る良い機会になります。
黙々とひとりで執筆をしていると、社会とのつながりを感じられず、自分には価値がないのではないだろうかと悩むこともあるかもしれません。時にはリアルな触れ合いを通じて、自分の価値を見直してみるのもおすすめです。
理由4:コミュニケーション能力・提案力が向上する
異業種交流会では、限られた時間の中で初対面の相手に自分を理解してもらい、相手の話を引き出す必要があります。これは、クライアントとの打ち合わせやヒアリングで求められるコミュニケーション能力そのものです。
実際、初参加の頃は上手く話せなかった方が、回を重ねるごとにコミュニケーション能力を向上させていく場面をよく見ました。「最初は隅っこにいたライターさんが、数か月後には積極的に輪の中心で話せるようになっていた」なんてことも珍しくありません。
異業種交流会で成果を出すライターの共通点

異業種交流会自体にメリットがあるとはいえ、ただ参加するだけでは成果はでません。ここでは、成果を出すライターの共通点を紹介するので、参考になさってください。
共通点1:記憶に残る「自己紹介」を準備している
短時間で相手に自分を印象づけるために、自己紹介は非常に重要です。特にほかの参加者はライターの仕事自体を理解していない場合も多いです。「ライターをしています」だけでは記憶に残りません。「SNSのフォロワー数を爆伸びさせる文章が得意です」といった具体的な表現を用意し、可能であれば参加者に合わせて変更できるよう複数の自己紹介を用意しておくといいでしょう。
共通点2:「GIVE」の精神を持っている
自分の仕事の話ばかりしたり、相手から何かを得ようとしたりする「TAKE」の姿勢が強い人は、異業種交流会においても結果を残せません。成果を出すライターは、相手の話を熱心に聞き、相手のビジネスや課題に関心を示し、「何かお役に立てる情報はないか」「自分の知識や人脈で貢献できることはないか」という「GIVE」の精神を持っています。結果的に、そうした姿勢が信頼関係を構築し、仕事の依頼につながるのです。
共通点3:「聞く力」が高い
相手の事業内容や課題、興味関心などを注意深く聞き取り、的確な質問を投げかけると会話はより深まります。「すごいですね!」「もう少し詳しく教えていただけますか?」といった相づちや質問は、相手に好印象を与え良好な関係を築く第一歩となります。ライターにとって「聞く力」は取材の基本スキルでもあり、異業種交流会はその実践の場にもなるのです。
初心者ライター向け・異業種交流会の選び方

ここまで読んでいただき、異業種交流会への参加を前向きに検討し始めた方もいるかもしれません。ただ、異業種交流会といってもさまざまな種類があるため、事前に選び方を理解しておきましょう。
異業種交流会を選ぶうえで特に重要なのが「主催者」「参加者の属性」「費用」です。
異業種交流会の主催者は個人から団体までさまざまです。商工会議所や自治体、業界団体などが主催している会であれば比較的安全に参加できます。また、個人や企業が主催する場合でも、長年にわたり定期的に開催されている会は、信頼性が高いと言えます。
参加者の属性は経営者やマーケティング担当者、店舗経営者、士業(弁護士、税理士など)の方、専門職の方々など多岐にわたります。事業を立ち上げたばかりの方や、副業として事業を行っている方など、ベテラン経営者ばかりが参加しているわけではありません。過去の開催事例から、自分と同じような段階の方が集まっている会を選ぶのもおすすめです。
費用は無料の会から1回で1万円以上の会もあります。商工会議所や自治体が主催している会であれば、無料から低価格で参加できます。食事付きの会であれば、食事代+α程度の費用で参加可能です。ランチ交流会であれば2,000円から3,000円ほどで参加できるものもあるでしょう。
筆者がおすすめするのは、地域密着型の低価格な交流会です。地元の方々とつながれば、何かあったときに助けてもらいやすく、不誠実な行動をすればすぐに噂が広がるので良質な人が集まる傾向にあります。まずは地元で開催されているランチ会を探してみてはいかがでしょうか。
勇気を出して異業種交流会の扉を開けよう!

異業種交流会は参加をすればすぐに仕事につながるという場所ではありません。ただ、勇気を出して参加すれば、多くの専門家とのつながりが生まれ、間接的にあなたの仕事の助けとなるでしょう。
「人見知りだから…」「上手く話せる自信がない…」と感じるかもしれません。ただ、最初から上手く振舞える人の方が珍しいです。この記事でお伝えしたポイントを参考に、「今日は〇〇な人と話してみよう」「この自己紹介を試してみよう」といった小さな目標を持って、成功体験を重ねてみてください。
気が付けば異業種交流会の中心人物となって、多くの人から頼られる存在になるかもしれませんよ。
この記事を書いたライター

にのまえはじめ
パーソナルトレーナー、システムエンジニアなど複数の顔を持つ複業ライター。得意ジャンルはアニメ・漫画、ゲーム、特撮などのサブカルチャー、IT・システム開発関連、インタビュー記事など。クライアントからは「執筆速度の速さ」「斜め上の考...